開業費はいつの支出まで入るか|償却は好きな年に好きな額でいい

開業費 83,323円 開業届を出す前に払った分を領収書で裏を取って台帳にした お金の話

※本記事にはプロモーションを含みます。

2026年10月1日に、所轄の税務署へ開業届と青色申告承認申請書を出します。提出はまだ先ですが、支出のほうはすでに始まっていて、アプリの開発、せどりの仕入れ、AIの利用料と、開業日より前に払ったものが増え続けています。これらが経費になるのかどうかを知らないまま増やし続けるのが不安だったので、8月22日に台帳を作りました。

領収書で裏が取れた分だけを入れると、確定した合計は83,323円と22.00ドルと29.00ユーロでした。この記事は、その内訳と、開業費の扱いを法令の原文で確認した記録です。

開業費とは「開業までの間に、開業準備のために特別に支出する費用」

開業費の定義は、所得税法施行令の第7条第1項第1号にそのまま書いてあります。

開業費(不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用をいう。)

所得税法施行令 第7条第1項第1号

読むべきところは2つあります。ひとつは「事業を開始するまでの間に」で、開業日より前の支出が対象だと明記されている一方、何年前までという上限はこの条文に書かれていません。

もうひとつは「特別に支出する費用」で、ここが効きます。開業のために特別に出した金なのか、開業してもしなくても毎月出ていく金なのかで扱いが変わってくるので、私の台帳でいうと、Apple Developer Program の年会費は前者ですが、月額のAIサービスは後者に見えるのです。この線引きは後述します。

償却は「したい年に、したい額だけ」でよい

開業費は経費ではなく繰延資産なので、払った年に全額を落とすのではなく、資産として持っておいて、あとから償却して経費にします。この償却の自由度が、思っていたよりずっと高いものでした。

国税庁の質疑応答事例「償却期間経過後における開業費の任意償却」には、こう書かれています。

繰延資産(開業費)の償却費の計算については、60か月の均等償却又は任意償却のいずれかの方法によることとされています(所得税法施行令第137条第1項第1号、第3項)。

任意償却は、繰延資産の額の範囲内の金額を償却費として認めるもので、その下限が設けられていないことから、支出の年に全額償却してもよく、全く償却しなくてもよいと解されます。

国税庁 質疑応答事例(令和7年8月1日現在の法令・通達等に基づく)

つまり、赤字の年は1円も償却せず、黒字が出た年にまとめて落とすことができるのです。同じ事例には「繰延資産となる費用を支出した後60か月を経過した場合に償却費を必要経費に算入できないとする特段の規定はない」ともあって、5年を過ぎても未償却残高は使えると書かれています。

ただし、同じ文書の末尾には条件がひとつ付いています。

支出した開業費の内容及びその開業費の額が過年分において必要経費に算入されていないことを明らかにしておく必要があります。

何にいくら使ったか、そしてそれをまだ経費にしていないことを、自分で示せる状態にしておけということです。台帳を作った理由はここにあって、数年後に「あの年の支出をいま落とします」と言うためには、いま記録しておく必要があるのです。

台帳に入れた83,323円の内訳

アプリ開発・AI:62,915円と22.00ドル

日付内容金額
2026-07-17Claude Pro(月額)3,000円
2026-07-25Google Cloud Platform & APIs(Gemini API)2,000円
2026-07-26Apple Developer Program 1年間のメンバーシップ12,980円
2026-07-26Anthropic 追加クレジット(20ドル+消費税10%)22.00ドル
2026-08-08Claude Max 5x(月額)へ変更20,000円
2026-08-08Claude Pro 分の日割り返金−871円
2026-08-18Claude Max 20x(月額)へ変更40,000円
2026-08-18Claude Max 5x 分の日割り返金−14,194円
小計62,915円+22.00ドル
出典はすべてAppleとGoogleとAnthropicの領収書。返金分はマイナスで入れています

1か月半でClaudeの契約を3段階上げていて、7月はProの3,000円、8月8日にMax 5xの20,000円、8月18日にMax 20xの40,000円と、アプリを8本並行で作り始めてから、AIの利用料が支出の最大項目になりました。プラン変更のたびに前プランの日割り返金が入るので、その分もマイナスで台帳に記録しています。

せどり:20,408円と29.00ユーロ

日付区分内容金額
2026-08-10月額ツールKeepa Pro(8/10〜9/10)29.00ユーロ
2026-08-16仕入れユンケル ローヤルDCF 8個(レジ袋2枚込み・ドン・キホーテ)8,800円
2026-08-16経費駐車場 タイムズ 3時間35分(1,500円→300円割引)1,200円
2026-08-16備品透明OPP袋 B5 テープ付 100枚670円
2026-08-16備品ラベルシール A4 12面 22シート761円
2026-08-17仕入れ明治 ミルクチョコレート 1BOX(規制解除申請用・送料込み)2,465円
2026-08-17仕入れNETSEA 富士文具(替芯・ノート・インデックス・定規)4,827円
2026-08-18備品ハンドラベラー 業務用+ラベル10巻1,685円
仕入れ16,092円/備品3,116円/その他経費1,200円。円建て合計20,408円

ドン・キホーテで仕入れたユンケル8個は、全部売れた場合の見込み利益が7,280円ですが、駐車場代1,200円を引くとその日の実質は6,080円の見込みで、滞在3時間35分なので時給に直すとおよそ1,700円になります。こうした計算ができるのは、駐車場のレシートまで台帳に入れているからです。

一方、明治のチョコレートと富士文具の4点は、売って利益を出すための仕入れではなく、Amazonの出品規制を解除するために正規の請求書が出る仕入先から買った、「受験料」のような支出です。

まだ金額が取れていないもの

  • Xserverの利用料(支払い確認メールに金額の記載がない)
  • Canva(サブスク開始の通知だけで、領収書がまだ届いていない)
  • Amazon大口出品の月額登録料(登録完了メールに金額が一切書かれていない。売上と相殺される仕組みのため、売上ゼロのいまは残高がマイナスになっているはず)

金額が確認できないものは、台帳に「未取得」と書いて空欄のまま残しています。推測で数字を入れてしまうと、あとで領収書と突き合わせたときに合わなくなるからです。

開業費に入れなかったもの

Mac mini 206,800円は、減価償却資産として別枠

8月16日に、外出先でも開発できるようにMac mini(M4/メモリ24GB/SSD 512GB)を206,800円で注文しました。金額としては台帳のどの項目より大きいのですが、10万円以上の機材は消耗品費にできず、減価償却資産になるので、台帳では本文の表から外して別枠で管理しています。

青色申告なら30万円未満の少額減価償却資産の特例が使える可能性があるので、これは10月1日に税務署で確認する項目に入れました。

私用と判断して外した6件 23,601円

領収書を集めていくと、事業の支出と私用の買い物が同じ期間に混ざっているので、8月22日に1件ずつ見て、次の6件は私用と判断して台帳に入れませんでした。

  • microSD 2,205円
  • マルタイ棒ラーメン 2,600円
  • 南高梅 3,568円
  • スープギフト 4,500円
  • 海鮮おつまみとコーヒー 6,230円
  • スーパードライ24本 4,498円

合計は23,601円です。せどりの仕入れに見えなくもない食品が並んでいますが、実際に売るつもりで買ったものではないので外しました。迷ったものを入れないほうが、あとで説明しやすいのです。

判断がつかず、税務署で確認すること

調べた範囲では答えが確定しなかったものも残っていて、これらは10月1日に窓口へ持っていきます。

  • 月額のAIサービス(Claude・Keepa)は開業費に入るか。条文の「特別に支出する費用」という書き方からすると、開業してもしなくても毎月発生する費用は開業費ではなく、開業前の分は経費にできないという整理が一般的に見えます。ただし個人事業の場合の扱いを直接示した国税庁の資料は見つけられませんでした
  • Mac mini 206,800円に、少額減価償却資産の特例が使えるか
  • 開業日より前の支出を、どこまで遡って開業費にできるか

ここを推測で埋めないのは、間違えたときに直すのが確定申告の時期になってしまうからで、窓口で聞けば10分で済む話です。

台帳を作るときに決めた3つのルール

  • 領収書で裏が取れた実額だけを載せる。記憶や概算は入れない
  • 住所・氏名・カード番号・電話番号は書かない。領収書の原本には載っているので、台帳側には持ち込まない
  • 外貨建ては円に直さず、外貨のまま置いておく。Anthropicの22.00ドル、Keepaの29.00ユーロは、カード明細でレート換算後の金額が確定してから円に直す

3つ目は地味ですが効きます。自分でレートを掛けて円に直すと、カード会社の実際の請求額と必ずずれるので、そのずれた数字を台帳に入れてしまうと、あとで明細と突き合わせたときに原因が分からなくなるのです。

次にやること

  • セラーセントラルのペイメントレポートで、Amazon大口出品の月額登録料と手数料を確認して追記する
  • XserverとCanvaの請求額を取得する
  • 領収書の原本を1か所に集める
  • 10月1日、開業届の提出時に上記3点を税務署で確認する

台帳そのものは1時間もかからずに作れましたが、時間がかかったのは、どの支出がどちらに入るのかを法令で確かめる部分でした。開業前の支出が経費になるかどうかを気にしている人は、先に所得税法施行令第7条と国税庁の質疑応答事例を読んでおくと、迷う回数が減るはずです。

出典

  • 所得税法施行令 第7条(繰延資産の範囲)|e-Gov法令検索
  • 国税庁 質疑応答事例「償却期間経過後における開業費の任意償却」(令和7年8月1日現在の法令・通達等に基づく)https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/04/08.htm
  • 金額はすべて、Apple・Google・Anthropic・Keepa・楽天・Amazon・NETSEAの領収書および店頭レシート(2026年7月17日〜8月18日)

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