確定申告はAIと2人でやりきる【第1回・必要なものを揃える】

確定申告はAIと2人でやりきる 連載第1回 お金の話

※本記事にはプロモーションを含みます。

不動産の確定申告を、これまでは税理士に任せてきましたが、2026年分からはAIと2人で自分でやります。

第1回では、自分で申告するのに何が必要なのかを7つに分けて、上から順番に説明していきます。

  1. なぜ税理士をやめて、AIとやるのか
    1. AIを見ていて、自分でもできそうだと思った
    2. 頼んでいた範囲に対して、金額が少し高かった
  2. 確定申告を自分でやるのに必要なもの(全体像)
  3. 必要なもの① 青色申告の承認
    1. 青色にすると、所得から最大65万円引ける
    2. 使うには事前の申請が要る。期限は3月15日
    3. 私の場合に例外が使えるかは、原文を当たっても書いていなかった
  4. 必要なもの② 開業届
    1. 不動産で出していても、事業所得が加わればもう一度出す
    2. 期限が、国税庁のページどうしで違っていた
    3. 10月1日に、青色申告の申請書と一緒に紙で出す
  5. 必要なもの③ 帳簿をつける会計ソフト
    1. 複式簿記が要るので、マネーフォワード クラウド確定申告を使う
    2. 契約はそのまま使えた。ただし不動産の科目に落とし穴がある
  6. 必要なもの④ 数字を検算する仕組み
    1. 自分で作った「資産プラットフォーム」で、もう一度計算する
    2. 1年目は勘が働かないので、機械に2回計算させる
    3. 登録なしで使える税額シミュレーターも置いてある
  7. 必要なもの⑤ 前年までの申告資料
    1. 2026年の帳簿は、2025年末の残高から始まる
    2. 資料を受け取ってから、税理士に終了を伝える
  8. 必要なもの⑥ e-Taxで送るための番号とカード
    1. 16桁の利用者識別番号と、マイナンバーカードが要る
    2. 番号は、税理士が持っていた
    3. 誰にも聞かずに、自分で確認できる
    4. 3つの書類は、出し方がそれぞれ違う
  9. 必要なもの⑦ 締切までの計画
  10. 次回までにやること
  11. 同じことをやる人へのメモ
  12. あわせて読む
  13. 出典
  14. あわせて読みたい
  15. 参考図書

なぜ税理士をやめて、AIとやるのか

AIを見ていて、自分でもできそうだと思った

この1年ほどのAIの進み方を見ているうちに、税理士さんでなくても自分でできるんじゃないかと思うようになりました。なかでも決め手になったのは、Claude Codeが自分のパソコンの中で動くことです。手元の領収書や資料をそのまま読ませ、条文や国税庁のページを調べさせながら進められるので、この記事に載せた条文もFAQも、その手順で原文に当たっています。

頼んでいた範囲に対して、金額が少し高かった

税理士にお願いしていたのは確定申告書の作成だけで、日々の仕訳はしてもらっていませんし、節税のアドバイスもありませんでした。書類を作って出す、その範囲で88,000円というのは、少し高いと感じたのです。

私の状況を先に書いておくと、会社員の給与と、賃貸に出している物件の家賃収入があり、そこへ2026年から始めた副業(せどり、アプリ開発、アフィリエイト)が加わります。これまでは白色申告で、副業の収入はまだありません。

確定申告を自分でやるのに必要なもの(全体像)

確定申告を自分でやるのに必要なもの
確定申告を自分でやるのに必要なもの7つと、9月3日時点の状態

必要なものは7つで、内訳は書類が2つ、道具が2つ、資料が1つ、e-Taxの準備が1つ、そして計画が1つです。以下ではこの順番で、それが何で、なぜ要って、自分は何をしたのかを書いていきます。

必要なもの① 青色申告の承認

青色にすると、所得から最大65万円引ける

確定申告には白色と青色があり、青色にすると青色申告特別控除で所得から最大65万円を引けます(租税特別措置法25条の2)。ただし65万円には条件があって、複式簿記で記帳すること、貸借対照表と損益計算書を付けること、期限内に申告すること、そしてe-Taxで送信することの全部を満たす必要があり、紙で出すと55万円に下がります。

私の物件は2室なので、不動産所得としては事業的規模(5棟10室)ではありません。それでも事業所得が加わる年からは、不動産所得と事業所得を合わせた黒字を上限に65万円まで使えると、国税庁の質疑応答事例に載っています。

使うには事前の申請が要る。期限は3月15日

青色にするには、事前に「所得税の青色申告承認申請書」を出して承認を受ける必要があり、その期限は国税庁の手続案内にこう書かれています。

青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日(非居住者の場合には事業を国内において開始した日)から2月以内。)に提出してください。

── 国税庁「A1-8 所得税の青色申告承認申請手続」

2026年分を青色にするなら本来は2026年3月15日が期限で、これはもう過ぎていますから、残る道は「新たに事業を開始した日から2か月以内」の例外だけです。

私の場合に例外が使えるかは、原文を当たっても書いていなかった

ここで手が止まりました。私は不動産の業務を何年も続けていて、そこへ事業所得の業務が新しく加わる形なので、この場合に「2か月以内」の例外が使えるのかが分からなかったのです。

条文、通達、タックスアンサー、手続案内、記載要領、質疑応答事例まで当たりましたが、この場合を名指しで書いた記述は見つかりませんでした。検索すれば「同じ扱いになる」と書いたページは出てくるものの、そこで出典に挙がっている国税庁のページを実際に開くと、そうは書いてないのです。

使えるなら10月に出して2026年分から青色になりますし、使えないなら2026年分は白色のままで、青色は2027年分からになります。つまり65万円の控除がまるまる1年ずれるわけです。所轄の税務署に電話して聞くつもりですが、9月3日の時点ではまだかけられていません。

必要なもの② 開業届

不動産で出していても、事業所得が加わればもう一度出す

正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、新たに事業所得を生ずべき事業を始めたときに出す書類です(所得税法229条)。私は不動産の貸付けで何年も前に出していますが、今回は事業所得の業務が新しく加わるので、もう一度出します。これは青色申告承認申請書に書く「新たに業務を開始した年月日」の土台にもなるからです。

期限が、国税庁のページどうしで違っていた

手続案内「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」には、こうあります。

事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までに提出してください。

一方、タックスアンサー「No.1399 新たに不動産の貸付けを始めたときの届出など」には、こうあります。

事業的規模の不動産貸付けを開始したときは、開業の日から1か月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出することが必要です。

どちらも2026年9月時点で公開されているページで、どちらにも「令和7年4月1日現在法令等」と書かれています。「開業届は1か月以内」という説明をよく見かけますが、それはこちらの記載を読んだものでしょう。私は手続案内のほうに合わせることにしました。

10月1日に、青色申告の申請書と一緒に紙で出す

10月1日に、青色申告承認申請書と一緒に紙で出します。なぜ紙なのかは、⑥のe-Taxのところで書きます。

必要なもの③ 帳簿をつける会計ソフト

複式簿記が要るので、マネーフォワード クラウド確定申告を使う

青色申告の65万円には複式簿記が要りますが、手書きで続けるのは現実的ではないので、会計ソフトを使うことになります。私が使うのは、すでに有料プランに入っているマネーフォワード クラウド確定申告です。

契約はそのまま使えた。ただし不動産の科目に落とし穴がある

契約の中身を確認すると、個人事業として登録されていて、不動産所得の設定も有効になっており、会計期間も過去の年分まで並んでいました。新しく契約し直す必要はなかったわけです。

ひとつ気をつける点があります。損益計算書は、使った勘定科目で事業所得と不動産所得に振り分けられる仕組みなので、不動産の仕訳に末尾が「(不動産)」の科目を使わないと、不動産所得に金額が乗りません。家賃を普通の「売上高」で入れると事業所得になってしまうのです。なお貸借対照表のほうは事業所得と不動産所得で分けられず、同じものが両方の決算書に載りますが、これは仕様です。

必要なもの④ 数字を検算する仕組み

自分で作った「資産プラットフォーム」で、もう一度計算する

会計ソフトとは別に、もう1つ使うものがあります。自分で作ったWebアプリで、「資産プラットフォーム」といいます。

資産プラットフォームのトップページ
自分で作った「資産プラットフォーム」。家賃収入のある人向けの確定申告・物件管理ツール

家賃収入のある人向けの、確定申告と物件管理のツールで、物件ごとの収支、銀行とカードの明細、減価償却、家事按分を1か所にためると、不動産所得と税額の目安が出るところまで運んでくれます。

1年目は勘が働かないので、機械に2回計算させる

今回の確定申告では、会計ソフトで作った数字を、このアプリで検算します。2つの経路で同じ数字が出れば間違いに気づけますし、1年目で自分の勘が働かないぶんは、機械に2回計算させて補うことにしたのです。

登録なしで使える税額シミュレーターも置いてある

登録なしで使える計算ツールも置いてあり、給与と家賃収入を入れると、増える税金や、赤字なら戻ってくる税金の目安が出ます。

家賃収入の税額シミュレーター
登録なしで使える税額シミュレーター。入力した数字はブラウザの中だけで計算される

上の例は、給与600万円・家賃収入120万円・経費40万円・減価償却50万円・ローンの利息40万円を入れたところで、不動産所得が10万円の赤字になるため、給与から引かれていた税金が30,420円戻ってくる計算になります。入力した数字はブラウザの中だけで計算されてどこにも送られませんし、会員登録も無料で、クレジットカードは要りません。

資産プラットフォーム(家賃収入の確定申告と物件管理)

このアプリを実際の申告でどう使ったかも、この連載で書いていきます。作った人間が自分の申告で使ってみて、足りないところをその場で直していくつもりです。

必要なもの⑤ 前年までの申告資料

2026年の帳簿は、2025年末の残高から始まる

要るのは2025年分の申告書の控え、決算書、そして減価償却の明細です。2026年の帳簿は2025年末の数字から始まるので、建物の未償却残高も、借入の残高も、預かっている敷金も、期首の残高は前年の資料にしかありません。

資料を受け取ってから、税理士に終了を伝える

これらは税理士から回収しますが、まだこれからです。順番としては、資料を受け取ってから終了の連絡をすることにしています。

必要なもの⑥ e-Taxで送るための番号とカード

16桁の利用者識別番号と、マイナンバーカードが要る

65万円の控除にはe-Taxでの送信が条件なので、16桁の利用者識別番号と、電子署名のためのマイナンバーカードが要ります。カードを読むのにICカードリーダーは必須ではなく、対応するスマートフォンで済みます。

番号は、税理士が持っていた

私はこれまで税理士に代理送信してもらっていたので、自分では一度も使ったことがなく、番号も知りませんでした。ところが調べてみると、代理送信でも納税者本人の利用者識別番号が要るうえに、国税庁は税理士が関与先に代わって開始届出書を送る方法を正式に案内しています。つまり私の名義の番号は、すでにどこかにあるはずなのです。

最初は税理士に聞くつもりでしたが、契約を終える相手に聞くのは気が進みませんでした。

誰にも聞かずに、自分で確認できる

国税庁のFAQに、そのままの質問がありました。

税理士へ依頼することになり利用者識別番号が必要になりました。どのようにすれば利用者識別番号を確認することができますか。

マイナンバーカードまたは「スマートフォンのマイナンバーカード」を利用してe-Taxソフト(WEB版)にログイン後、マイページの「基本情報」から、利用者識別番号を確認することができます。

カードがあれば自分で見られるので、税務署にも税理士にも聞かずに済みます。

ただし、ひとつ注意があります。すでに番号を持っている人が新しく開始届出書を出すと、それまでの番号が使えなくなり、メッセージボックスの中身も読めなくなると、国税庁がはっきり書いているのです。だから番号が分からないときは、新規取得ではなく変更等届出書を使います。

3つの書類は、出し方がそれぞれ違う

3つの書類をどこへ出すか
開業届・青色申告承認申請書・e-Tax開始届出。出し方がそれぞれ違う

①②⑥の3つは、同じ「届出」でも出し方が揃っていませんでした。私がMacを使っていることも、話を少し複雑にしています。

  • 開業届 … 紙で税務署へ。国税庁の案内はパソコンのe-Taxソフトですが、そのソフトはmacOSに対応していません。e-Taxソフト(WEB版)で作れる手続の一覧にも載っていません
  • 青色申告承認申請書 … e-Taxソフト(WEB版)のマイページから出せます。ブラウザで動くのでMacでも問題ありません
  • e-Taxの開始届出 … マイナンバーカードとスマートフォンで、自宅から完結します

開業届が紙になる以上、2枚まとめて窓口に持っていくことにしました。そうすれば、その場で控えに収受印をもらえます。

必要なもの⑦ 締切までの計画

3月15日までの流れ
3月15日から逆算した並び

期限は2027年3月15日で、ここを過ぎると青色申告特別控除は65万円から10万円に減ります。

そこから逆算すると、9月に動く理由が見えてきます。青色申告は年の初めから複式簿記で記帳している必要があるので、10月に申請を出しても、記帳は1月分まで遡ってやることになるのです。月が進むほど、遡る量が増えていきます。

次回までにやること

  • ① 所轄の税務署に電話し、「2か月以内」の例外が使えるか確かめる
  • ⑤ 税理士から2025年分の資料を受け取る
  • ⑥ マイナンバーカードでe-Taxにログインし、自分の利用者識別番号を確認する
  • 8月に買ったMac miniを、取得した年に全額経費にできるかを確かめる。少額減価償却資産の特例は、条文と国税庁のページでは「30万円未満・令和8年3月31日まで」ですが、令和8年度税制改正の大綱では「40万円未満に引き上げ、適用期限を3年延長」となっています。手元の3つの資料が食い違っていて、決着していません

次回は、税務署の答えと10月1日の提出を書きます。

同じことをやる人へのメモ

  • 税理士をやめる前に、前年分の申告書控え・決算書・減価償却の明細を先にもらう。期首残高はそこにしかない
  • 利用者識別番号は、マイナンバーカードがあれば自分で確認できる。取り直すと過去の記録が消えるので、必ず確認が先
  • マイナンバーカードの電子証明書は、発行から5回目の誕生日で切れる。3月に気づくと間に合わない
  • 検索で出てくる説明は、出典の国税庁ページを開いて原文を読む。書いていないことが「書いてある」ことになっている場合がある

出典

  • 国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」 nta.go.jp
  • 国税庁「A1-8 所得税の青色申告承認申請手続」 nta.go.jp
  • 国税庁「No.1399 新たに不動産の貸付けを始めたときの届出など」 nta.go.jp
  • 国税庁 質疑応答事例「業務的規模の不動産所得と赤字の事業所得がある場合の青色申告特別控除」 nta.go.jp
  • e-Tax「ご利用の流れ」 e-tax.nta.go.jp
  • e-Tax「税理士へ依頼することになり利用者識別番号が必要になりました。…」 e-tax.nta.go.jp
  • e-Tax「税理士等が関与先の納税者の電子申告等開始届出書を送信する場合、…」 e-tax.nta.go.jp
  • e-Tax「e-Taxソフト(WEB版)で作成可能な手続【パソコン】」 e-tax.nta.go.jp
  • 財務省「令和8年度税制改正の大綱」 mof.go.jp

いずれも2026年9月3日に確認したものです。税制は変わります。実際の手続きの前に、必ず最新の情報を確認してください。

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